人の想いに触れるひととき

やっと涼しくなってきました。
朝晩の空気が心地よく、木々の葉も少しずつ秋の色を帯びてきました。

先日、ご年配の女性と40代ほどの女性が、お墓参りにいらっしゃいました。
お二人は静かに手を合わせ、一つ頭を下げられたあと、墓石に語りかけておられました。

「先生、来ましたよ。
こんな身体なので、もう来られないかもしれません。
今度そちらに行ったら、またお会いしましょうね。
すぐ行きますから、待っててくださいね。」

お帰りになったあと、墓石の前にはホオヅキが一つ。
そのホオヅキには、お名前が書かれていました。
それに気づいた瞬間、胸の奥から静かに涙が込み上げました。

人と人とのつながり、故人を想うやさしい心。
自然の中で眠る樹木葬の場では、そんな想いが風にのって、木々の間を静かにめぐっているように感じます。

日々、さまざまな方の想いに触れながら、
この仕事を通して「人の心のあたたかさ」に寄り添えることに、あらためて感謝の気持ちを覚えました。